「まあまあ、落ち着いてよ希美」 それに続いて、そんな声も聞こえた。 希美……。 その名前は、クラスにたった一人しか居 ない。 「なんで学級委員だからって、香坂が泣 かせた女の子を慰めなきゃいけないわけ !?」 ―――やっぱり。 それが委員長だと知って、俺は少し頬が 緩むのを感じた。 「だったら気にしなきゃ良いのに。ほっ とけば?」 「そ、そんなの出来ないわよ……。そう いうのはほっとけない質なの」 じゃあ、もし。 もし俺が苦しんでいたら、彼女は助けて くれるんだろうか。