まあ、香坂が誰を抱こうが泣かせようが
勝手だけど。



泣いている女の子を、『学級委員』とし
て慰める私の気持ちにもなってほしい。



わざわざ、「気にすることないよ」なん
て心ない言葉を吹っ掛ける私に巣食うの
はいつも罪悪感だけなんだから。



―――ガラッ。



その時、教室のドアが開いて、見れば香
坂が丁度やってきた所だった。



「あ、おはようございまーす」



悪びれもなく入ってきた彼に、クラスは
クスクスと笑い、先生は苦笑いを浮かべ
る。




ただ一人、私が無表情だった。