子供が出来てもいいとか、ふざけてる。
俺がよくねえよ。
好きでもない女の子供なんか、要らない
。見たくない。
はぁ、とため息をつくと、揺れたカーテ
ンの先、見つけた君の姿。
君は驚いたような、焦ったような顔をし
ていたけど、開き直ったのか、すぐにい
つもの冷酷さを取り戻した。
君との会話にはいつも、暖かさがないの
に喋れるだけで、すごく嬉しくて。
―――胸が甘い音を立てて動く。
気付いてないんだ。
自分がとても美しいことにも、密かに男
の憧れであることも。
高嶺の花だと噂される君を、抱きたいっ
て思ってる奴らは腐るほどいる。
俺だってその一人だよ。
その柔らかそうで、サラサラとした黒髪
が揺れる度。
甘い匂いが鼻を掠める度。