嫌だ嫌だと暴れる私の両手首を、香坂は
片手でがっしりと掴む。
それから頭の上でそれを固定されて、と
うとう抵抗の余地が無くなった。
「こ……さか…」
「……大丈夫。最後まではしないから。
だから黙って」
「だ、黙ってってそんな……んっ…」
ふと、鎖骨あたりから走る甘い痛みに、
思わず顔を歪めた。
香坂は私の鎖骨に顔を埋めていて、その
まま―――。
「……ひぁっ!?」
ペロッと私の鎖骨を舐めたのだ。
少し起き上がった香坂に、「変態!」と
罵ってやろうと思ったのに。
起き上がった香坂の伏せた睫毛から覗く
瞳が悔しげで、何も言えなかった。


