そう言った香坂の声は、嘲笑うようなニ
ュアンスで。拒絶するように。
「産ませないし、孕ませない。仮に赤ち
ゃん出来たとして、俺に結婚でも迫るつ
もり?―――ふざけんな。勝手に抱かれ
にきて、勝手に責任押し付けて」
どんどん低くなる香坂の声。
「そういう女が一番ウザイ。俺もう、あ
んた抱かないから。バイバイ?セフレさ
ん」
何の感情も―――ない。
ひどく冷酷で、この世界を見下したよう
な嘲りを含む声色。
「……最低!」
その先輩とやらは声を震わせてそう言う
と、カーテンがかかったベッドから飛び
出してドアを開けて出ていった。
呆然とする私。
先輩が出ていったせいで、香坂に見つか
ってしまった。


