ビクッと跳ねる指。顔が熱くなるのが、
手に取るようにわかった。
き、き、キス!?
硬直してうごけない私をよそに、二人の
会話は進んでいく。
「ねえ禊。なんで最近触ってくれないの
?いつもキスだけ」
「先輩―――」
「ねえ禊、ヤろ?私、禊との身体の相性
良いんだよ?なんなら、ゴム付けなくて
も―――」
「駄目」
濃密な会話の中、甘ったるい空気を引き
裂いた香坂の低い声が、妙に響いた。
香坂……怒ってる?
「そんなに誘われても、俺、ヤる気分じ
ゃ無いんだわ。それに避妊もしないでヤ
って、先輩が孕んだらどうすんの?」
「そしたら、私は―――」
「産むの?」


