「お母さん、夢でも見たの?」
はあ、と大きくため息をつきながら、冷
蔵庫から水を取り出した。
キャップをくるくると開けて、グイッと
煽るその瞬間。
「えー?香坂禊君、って名前もあったわ
よー?」
「ぶはっ!」
水が滑らかに緩やかに喉を通り抜けるそ
の瞬間、とんでもない名前が出てきて、
水を吐き出す。
お母さんはそんな私を怪訝そうに見やっ
た。
「やだぁ、汚いわね、あんた」
「ご、ごめ……ていうかソイツ!!いつ
会ったのよ!?」
「え、丁度帰って来たとき。家から出て
きて、希美さんの看病してましたって、
言ってたのよ?」
「そ、そんで……?」


