和馬君……。



和馬君がすごく辛そうな顔をするから、
私まで胸が痛んだ。だって和馬君にこん
な顔をさせているのは、私なんでしょ?



「でも、無理だった。希美が好きだって
気持ちは消えてくんなくて──だけど」



そこで一旦、言葉を切る和馬君。



「だけど……っ、希美がアイツと居た方
が幸せなら……アイツが好きなら、しょ
うがないって、諦めようと思ったのに」



そこまで言うと、和馬君は私の頬をする
りと撫でて。



「……なんで希美、辛そうなんだよ。必
死にお前を諦めた俺の気持ちはどうなん
だよ……」

「和馬君……」

「お前の気持ちがそんな曖昧なら、俺が
お前のこと奪ってやる。もう俺しか、見
えないようにする」



そう言うと、和馬君は私を抱き締めた。



久しぶりに感じる和馬君のぬくもりには
、ちっともドキドキしなくて、切なさだ
けが籠ってるみたいで。