すると、いきなり腕を引っ張られて。



「っ!?」



いきなりのその衝撃に思わず目を瞑って
いると、背中が硬い物に打ち付けられて
、恐る恐る目を開くと、和馬君との距離
がさっきよりも近くなっていた。



後ろには、塀。硬い物がぶつかったって
感じたのは、多分この塀。



そして和馬君は、私を匿うようにして、
私の顔の横に両手をついていた。



「か、和馬君……?」

「……希美、俺がどんな気持ちで希美を
手離したか、わかってんの?」



挑戦的な視線をぶつけられて、私は少し
怯む。




和馬君がどんな気持ちだったのかなんて
、考えたこともなかった。



「希美の事、忘れようとしたし、いっそ
のこと嫌いになればいいとも思った」