千枝ちゃんは恐る恐るといったように香
坂に近づいた。
「あなたもしかして……禊君?」
え、千枝ちゃん……香坂のこと、知って
るの?
ううん。千枝ちゃんだけじゃない。
健二さんも、知ってるみたいな反応。
──私だけが、なにも知らないの?
「……すいません」
やっと香坂が声を出したと思ったら、そ
んな言葉で。
どうして香坂が謝ってるのかわからなか
った。
「知り合いに、家を聞いて来ました。い
きなり、すいません……それと、今まで
のこと……」
香坂はそこまで言ったかと思うと、いき
なりそのまま頭を下げた。
「俺の母親が、あなたたちを傷付けて、
掻き乱して……すいませんでした」


