香坂はまだ、その目を見開いて、戸惑う
ように俺を見つめていた。
最初、ビックリした。
あんなにも無表情だったあの男の子が、
クラスの人気者になって、更にはニコニ
コと笑っているなんて。
でも、気づいた。
その笑顔が偽物だってことに。
結局、何にも無関心なんだろう、って。
だけど、違ったんだな。
無関心なんかじゃなかった。希美に関し
ては、お前は、とても熱い瞳をするから
。
「でもいくら香坂が俺の兄弟だからって
、希美はあげないけど」
ていうかほんとは、兄弟なんて実感、こ
れっぽっちもないけど。
すると、それまでずっと目を見張ってい
た香坂が不意に目を伏せて。


