「……なんで、今更───……」
「あら。仮にも自分の子供なのにその言
い様は酷いじゃない。ねえ、私、ここま
で健二さんに言うことが出来なくて、ず
っと一人で育ててきたの」
そう言いながら、父さんに近寄る女。
だけど俺は、その男の子から目を離せず
に居た。
あの男の子は今、どんな気持ちでここに
居るんだろう。
俺は今、とても混乱してるのに、その男
の子には混乱とか、動揺とか、そういう
のが全然見受けられなくて。
逆にちょっと不気味だった。
「……ねえ健二さん、責任をとって欲し
いの」
「……いくら欲しい?」
父さんがそう言うと、クスクスと女が笑
う。
その笑い声が不快で、俺は眉を潜めた。


