なんの反応も示さない香坂が不思議で、
そう問いかけると、香坂がゆっくり口を
開いた。



「どうしたのよ、ってどういうこと?」



やっぱり、不機嫌そうな低い声。



その声が自分に向けられているだけで、
思わず泣きたい気持ちに襲われる。



「だって香坂、なんか今日、変よ。いつ
もはあんな風に怒ったりしないのに……
なんか、不機嫌だし」



そう言うと、香坂はゆっくりと起き上が
って。



片手で、前髪をかき揚げて、私を見た。



香坂の琥珀色の瞳は、燃え上がるような
激しい感情の渦を巻いていて。それがな
んの感情なのかはわからないけど。



そして香坂は自嘲するように笑った。



「俺が不機嫌なの、誰のせいだと思って
んの?」

「……え…」