恐らく、カーテンの向こう側には香坂が
居るんだと思う。



……とかいって全然別人だったりして。



「……香坂?」



そう静かに呼び掛けてみても、返事はな
くて。



私は小さなため息をついてから、そっと
ベッドに近寄り、カーテンに触れた。



「……香坂、開けるわよ」



開けてから怒らないでよね、と念を押し
て、カーテンを開いた。



するとそこにはやっぱり、香坂が居て。



香坂はベッドに仰向けになりながら、自
分の腕で目元を覆っていた。



「……香坂、上履きのままでベッドに上
がるのは止めなさいよ」



普通、脱ぐでしょう?と呆れながら言う
けど、香坂は無言で。



「……香坂、どうしたのよ」