「きっとアイツも、希美ちゃんに来てほ
しいと思うから……」
「私に……?」
「アイツを救えるのは、希美ちゃんだけ
だよ」
救うなんて、大袈裟だよ、と笑えなかっ
たのは、溝渕君の表情がいつになく真剣
だったから。
だから私は、ただ頷いたんだ。
多分、香坂ならここにいるだろうと目星
をつけたのは、保健室。
思えば、香坂と保健室に居る回数がすご
く多い気がする。
「失礼します」
そう言って中に入ると、保健室の先生は
居なくて、二つあるベッドは、片方だけ
カーテンが閉まっていた。
……保健室の先生って仕事してるのかな
。居るとこを見たことが無いんですけど
。
はあ、とため息をつきながら、カーテン
のしまっているベッドに目をやる。


