一気に静まり帰る教室。
クラスの誰もが、唖然として、言葉を失
っていた。パンダちゃんなんか、泣きそ
うになってる。
それもそうだ。
だって香坂はいつだって明るくて、笑顔
で、クラスの人気者で───誰も。
ここにいる誰も、香坂があんなに低い声
を出せることとか、冷たい言い方をする
だなんて思ってなかったんだから。
私だって、あそこまで冷たい香坂は、初
めて見た。
香坂が出ていった教室のドアを見つめて
いると不意に、後ろから誰かに肩を叩か
れて、振り向くとそこには溝渕君が立っ
ていた。
「溝渕君……」
「希美ちゃん、アイツのこと追いかけて
やってくんない?」
「……え?」
溝渕君のいうアイツっていうのは多分、
香坂の事だと思う。
でも、なんで私が?


