ネクタイを緩めながら、楽し気な母さん に苦笑いをして、ふと、あるものに気付 く。 リビングの隅に設置された棚の上に置か れた、一つの写真立て──。 そこに写った幼い少年は、とても大人び た表情を浮かべていた。 まるで、もう、笑うことなどないんじゃ ないのかというくらいに───。