「……そんなの、和馬君が謝ることじゃ
ないよ。気にしないで?」



和馬君はそれだけ一生懸命、仕事を頑張
ってくれていたんだから。



「でも、ちょっと悔しいんだよ」

「え?」

「……希美を助けたのが、俺じゃなくて
香坂だったことが……悔しいんだ」



和馬君はそう言ったかと思うと、一歩前
に踏み出して。



近付いた私達の距離を詰めるようにして
、私を抱き締めた。



香坂とは違う、和馬君の匂い。



身体中を包み込む和馬君の体温に、ドキ
ドキと心臓が素直に暴れだした。



「かっ、和馬君!?」



ああもう、声が上擦ってしまう。



和馬君がいきなりこんなことするから…
…。



ドキドキしすぎて心臓が壊れるんじゃな
いかと思っていると、不意に、耳元で和
馬君の声が聞こえてきた。