一週間前の土曜日、美梨は涼太のアパートを訪ねた。



涼太は仕事が休みだった。


二人は涼太の煎餅布団の中で、
昼間から愛し合っていた。




「あーん…涼太ぁ…」


美梨が呟き、布団を少し除けた時、枕元に誰かの足が見えた。



誰かが立っていた。




「きゃああああ!」


美梨は金切り声を上げ、体を起こして
掛け布団を巻き付けた。



間抜けにも屈んだまま、全裸で放り出された涼太が叫ぶ。


「あっ、貴子。なんで勝手に
入ってきてんだよ!」



貴子と呼ばれた若い女は、顔を真っ赤にして震える声で言った。



「合鍵返しにきたのよ。
涼太、別れたいって本当の理由これ?
最低、嘘つき!」


女は、持っていた鍵を畳に叩き付けた。

それからギロッと美梨を睨み付け、部屋からバタバタと出て行った。




「あーあいつ、玄関のドア開けっ放しにしやがった…」



涼太はなぜか半笑いで言った。

涼太は損だ。


なぜか不真面目そうにみえる顔なのだ。