「やっと、また会えたな」

今なら…

素直に言葉にできる。

「ずっと、会いたかった…」

彼がわたしの隣に座る。

わたしは彼の肩に寄りかかりながら、

「待たせちゃって、ごめんね」

照れながらしゃべる。

「ぜんぜん、あっという間だったさ」

彼は笑顔で応える。

「あのときは、ちゃんと言えなかったけど…今でも愛してるよ」


その後、二人とも何も話さなかった。

言葉はもう必要なかった。

思い出の場所で…

愛する相手が隣にいる。

他にはもう何もいらない。


わたしの左手の薬指には、

彼からもらった指輪があった。

もう何十年も経って…

ガラクタみたいだった指輪。

でも、わたしの人生の宝物。

その宝物があのときのように、

キラキラと輝いてるように…

わたしにはそう見えたんだ。