今ではもう懐かしい思い出だけど。

当時は苦しくて、彼との約束を何度も破りかけた。

今もわたしの手首に残ってる傷が…

その証。

「無も、案外と居心地よいもんですよ」

仮面が平然としゃべる。

「え? 無に行ったことあるんですか? 自殺したんですか??」

「いいえ。結局、誤解でしたから少しの間でした。裁判官だって間違いはあります、あっちと同じですよ」

「…いろいろ辛いことあったんですね」