一緒に付いているボールペンで何かを記すと、そのページを破り死体に投げて蝉の合唱を聴き入る。
山々に囲まれた自然豊かな土地に、自分はこんなにもそぐわない。
木々の香りも土の香りも、いまの自分には嫌悪でしかなかった。
否、嫌悪しているのではない。嫌悪されているのだ。
事件など起きそうもない空間に、血なまぐさいものを残してすまないと口の中で発し、木々と空の境目にぼんやり視線を送ると一度、強く瞼を閉じて立ち去った。
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