「守護霊っていうやつ? でも前の飼い主さんとこにいなくていいの?」

「おぬし、解っておらんな」

 ちちち……。

 とじーちゃんは人差し指を揺らして、(ハムスターの人差し指がどこかわからないけど)ちょっとニヒルに笑った。

「わしらに距離の概念は通用せんのじゃよ。一瞬じゃ、一瞬で行きたい場所に飛んでゆけるのじゃ」

「いいな~。それで物に触れたら」

 僕はえさ箱のお供え物を見下ろした。

 幽霊は、食べ物の「気」を食べるらしい。

 幽霊が食べた食べ物は味気なくなるんだって。

 じーちゃんが気を食べた僕のエサは、確かになんか味気ない。

 勿体ないから僕食べてるの。

 飼い主さん僕のこと可愛がってくれるから、エサを残したら心配するしね。

 壁をすり抜けたり飛べたりするのは羨ましいけど、なんにも出来ないのは嫌だ。