オオカミとお姫様

「少しばかり話してもいいかな?」

「え…あ、はい」

「君には申し訳ないんだが、退学願を提出したことをお父様に話した。お父様は受理していいとおっしゃった。お父様がそうおっしゃるならと私は受理しようとした。だが、受理に待ったをかけた男がいたんだ」

「誰が?」

「平野先生だよ。君が出した次の日に朝一番に言いにきたよ」

「…なんだよそれ」

「私は平野先生に説得されて君を待つことにしたんだ。長々と話してすまなかったね」

「あ、いえ…」

「君がこうして取り消して欲しいと真剣に言いにきたのもあるが、平野先生に説得されたのが大きかったかもな」

変態栄養士なのに、何さりげにかっこいいことしちゃってんだよ。
ムカつくわー。

「平野先生にちゃんとお礼を言っておきなさい。それで退学願の件はなかったことにしよう。いいね?」

「はっはい。ありがとうございました」

「次はサッカー部に頭を下げに行くのかい?」

「まぁ…」

「そうか。頑張りなさい」

「あ、はい。じゃ、失礼します」

理事長室を出た。
意外といい人なんだな、理事長って。
次はサッカー部だ。
俺は急ぎ足で職員室へ向かった。