部長とあたしの10日間

ああ、やっぱり変だ。
あたしってば、部長の手の平の感触に全神経が集中してる。


どうしよう、胸の動悸が収まらない。
この程度のスキンシップなら、今まで散々あったのに。


あたしが黙ったのを確認して、ゆっくりと手を離す部長から目が離せない。
あたしは、悪口ばかり言うこのひどい男に、どうしてこんなに緊張してるんだろう。


柱の陰で人が通るのをやり過ごしながら、あたしは落ち着かない気分で部長を見上げる。


切れ長の目、通った鼻筋、薄い唇。
相変わらずあたしのタイプではないものの、やっぱりめちゃくちゃキレイな顔してる。


あの眼光がもう少し柔らかかったら。
口調がもう少し温和だったら。
もしかしたらあたし───。


その瞬間、部長と目が合ってあたしは慌てて目を反らす。


ヤバい。
見とれてたの、絶対バレた。