箸で挟まれている卵焼きが空中にある。 「ど、どうしたの?」 侑梨は明らかに動揺しながら、お弁当箱に卵焼きを戻した。 「その、卵焼きちょーだい」 俺は自分の箸で、侑梨のお弁当箱にある卵焼きを指差す。 「あっ…!そんなことか!びっくりさせないでよ…」 侑梨はホッとしたように、再度卵焼きを箸で挟む。 「あ、口移しでちょーだい」