「侑梨ちゃんはさ」 部屋に入ると俺は話しだした。 「はい?」 侑梨は少しびっくりしたように返事をした。 「今日初めて聞いた?結婚のこと」 侑梨は、一瞬イヤそうな顔になったが、それは気のせいだったようでにっこり笑って言った。 「はい。冬哉さんはいつから知ってましたか?」 冬哉さん、なんて呼んでるのか。 一応、年上ではあるけど…… 侑梨はそれを知らないよな? それで“さん”付けするなんて、やっぱり育ちがいいんだ。 「俺は…1週間前くらい」