なんだ、あいつ……



橘の背中を見送りながら、思わずため息。


何も言い返せないなんて、情けねぇな、俺……



俺も帰ろうと思って、久々に佐藤(さとう)に電話を掛ける。


佐藤はうちの運転手。


最近は坂井さんにお世話になっていたから、電話するのはほんとに久しぶりだ。



“自分で考えたらどうですか?”


そう、言われたけど……



俺は自然と中学3年の頃の記憶を引っ張りだしていた。