「は…離してっ」


顔をグインと背けてそう言った。


その反動で掴まれていた手も自由になった。



「……は?侑梨、どうした?」


びっくりして戸惑ったような声を出した冬哉。



ごめんね。


冬哉が悪いわけじゃないの。



「っ…ごめん…」


その言葉以外、他に言えることがなくて私は逃げるように走った。



こんな私、見ないでほしい……



嫉妬でいっぱいの私。


冬哉のことを信じたいのに、信じきれない私。



知らなかったな……


───私ってこんなにも冬哉のことが好きなんだなあ……