「下ろしてよ!」 「イヤ」 うわ、速攻で返された! でも無理やり下りたら危ないし…どうしよう…… 「あ、あのねぇ……っ!」 なんとか冬哉を止めようと言葉を繋いでいく。 いつの間に廊下に出ていて、痛いくらいの視線を感じる。 「下ろしたら侑梨、逃げない?」 憂いを帯びた瞳に捉えられてぐっと言葉に詰まる。 に、逃げない!………って保証もないな…… 「だろ?だから、お姫様抱っこのままね」 私の表情から察した冬哉は、1人で納得したように頷いた。