「王子様って、またあの近所の男の子の話?」

「そう!あの男の子が私の中で描く完璧な王子様なの!」

「完璧な王子様って、あの時小学生だろ?どこに住んでるかもわかんねーし、今はもう全然王子様なんかじゃない別人になってるかもよー?」


そうやって意地悪そうに言う爽ちゃんに、そんなことないもんと首を横にブンブン振った。


どこに住んでるのかも、今どんな人になってるのかもわかんないけど……

それでも、心のどこかでまた王子様に会えるんじゃないかって思っていた。


だから今でも少女漫画を読んでいて、かっこいいヒーローに愛されるヒロインが羨ましくてしょうがない。


「まあでも、王子様見つかるといいな」

と、爽ちゃんが私の頭をクシャッと撫でた。


爽ちゃんの手ってこんなに大きかったっけ……


私は少しだけ顔を赤くして、小さくうなずいた。