担任が教室に入ってきた

「席つけー」


ぞろぞろとみんな席につく


「今日は転校生を紹介する、入れー」


ガラガラっとドアを開けて入ってたきたのは…、

「よろしくお願いします」

黒い髪
白い肌
透き通りのある声
大きい瞳
少しミステリアスな雰囲気を持つ…男の子だった


女子の黄色い歓声が…
いつも思うけどどうやって出してるんだ?




あ、れ

なんか、みたことあるような

なんだかなつかしいかんじ

あれ、れ

なんだろう、

この

「うっ」

頭痛、この間みたいな…

「華ちゃん大丈夫!?」

想が話しかけてくれる


「だ、大丈夫」


そして私は無意識のうちに立って喋りだした。


「蘭くん…?蘭藤水紀くん…?」


「僕は梶和泉、だけど」

想くんが椅子から立ち上がる

「…華ちゃん?どうしたの?」

…蘭くんじゃなくて、和泉…梶、和泉くん。

いやでも…蘭くんとそっくり…

似てる、似過ぎる

いくらなんでもありえない…


「…?」


「和久井、何いってんだ。えっと、梶は…難波の隣だな」


…梶、くんが指定された机に座った。


「…蘭くんではないの?」

記憶が瞬間的にリフレインした。

でも、名前も違うし

記憶がまだ不完全だし、本当にあの外見かもわからない。

…あの、蘭くんはいつの間にかいなくなっていた


私の、記憶の中から。


なぜだろう、私自身が拒否をしてるのだろうか

けれど拒否する理由はなんなのか、

…わからない


思い出そうとするたび…どんどん記憶が薄れていく気がして…。

そう

私は言い訳

言い訳で自分を守ってきた


記憶を思い出すと…

私の何かが壊れてしまう気がして


恐怖


その言葉に怯えながら

私は生きていたのか


そうだ
私はそう生きてきたんだ

私は…卑怯?