ー優来sideー
COLORFULの楽屋から飛び出して、ただひたすら走った。
行くあてなんてないから、とにかく上へ上と、階段を駆け上る。
屋上のドアをバンッと開けると、もう息がきれていた。
「はぁ、はぁっ…」
歩きながら、呼吸を整える。
「…最悪だ、あたし…」
あの人のことは、関係ないのに。
感情を隠しきれなくて、北斗くんに辛い思いさせた。
フェンスにもたれながら、ずるずると腰をおろす。
腕で顔を覆って、涙が零れないように必死でこらえる。
「…ダメだ、泣いちゃ。決めたじゃんか…」
ギュッと拳を握り、唇を噛み締めて堪える。
「……泣くなっ…」