夏休みの魔法



「……なんで、そう思う」


口を開いたのは、俺からだった。


「…好きじゃないんです」


また、視線をそらされた。


その千来の態度が、余計に俺を刺激する。



「メディアで木崎さんを見てか?それだけで人を判断してんじゃねぇよ!」


「北斗!千来だって、まだイメージが抜けてないんだろ…」

「夕哉は黙ってろ!」


もはや、俺は感情をコントロールできてなかった。



「木崎さんは優しい人だし、先輩だ!そんな態度はないだろう!?」


「優しくなんかないです!僕は……僕は、この事務所で一番あの人が嫌いなんです!」






思わず、手が出そうになった。


危ないところで、夕哉に手を掴まれた。





「…北斗、感情的になるな。千来も言い過ぎだ、先輩は敬え、たとえ形だけだとしても」



「……できません」



そう言った声は、震えていた。




「あの人を敬うことなんて、できない…!」




…泣きそうな、顔をしていた。