「…すみません、木崎さん。俺たち楽屋に戻らないといけないので…」 これ以上、木崎さんと千来を一緒にいさせてはいけない。 そう思った俺は、一旦ここを離れることにした。 「ああ、呼び止めて悪かったね」 「いえ、失礼します。ではまた」 「ああ…また、会えるよね。…千来くんも」 「……さあ、会えるんじゃないんですか?」 そう答えた千来に対して、俺は俺の中の何かが切れるのを感じた。 木崎さんが去っていくのを見届けてから、俺は千来の手首をつかんで歩き出した。