夏休みの魔法



「…すみません、木崎さん。俺たち楽屋に戻らないといけないので…」


これ以上、木崎さんと千来を一緒にいさせてはいけない。


そう思った俺は、一旦ここを離れることにした。


「ああ、呼び止めて悪かったね」


「いえ、失礼します。ではまた」



「ああ…また、会えるよね。…千来くんも」



「……さあ、会えるんじゃないんですか?」




そう答えた千来に対して、俺は俺の中の何かが切れるのを感じた。




木崎さんが去っていくのを見届けてから、俺は千来の手首をつかんで歩き出した。