楽屋は撮影場所と同じ階だけど、離れている。 「…千来?どこ行くの、そっちじゃないよ」 「ええ!?こっちじゃないんですか!?」 はい、やっぱり千来が迷いかけた。 声かけて正解…。 「まったく、そろそろ覚えような?」 「すみません、方向音痴みたいですね…」 いや、絶対方向音痴だと思う。 千来が間違えたせいもあって、俺たちはみんなと少し離れながらしゃべっていた。 もうすぐで楽屋…というフロアにさしかかった時だった。 「あれ、北斗?」 後ろから、俺の憧れの人の声が、俺を呼んだ。