夏休みの魔法



楽屋は撮影場所と同じ階だけど、離れている。


「…千来?どこ行くの、そっちじゃないよ」


「ええ!?こっちじゃないんですか!?」


はい、やっぱり千来が迷いかけた。

声かけて正解…。



「まったく、そろそろ覚えような?」


「すみません、方向音痴みたいですね…」


いや、絶対方向音痴だと思う。


千来が間違えたせいもあって、俺たちはみんなと少し離れながらしゃべっていた。









もうすぐで楽屋…というフロアにさしかかった時だった。





「あれ、北斗?」






後ろから、俺の憧れの人の声が、俺を呼んだ。