夏休みの魔法


「ああ、そうだった。北斗くんを呼びにきたのよ、撮影の順番、次だから」


思い出したように、桜木さんは頷いた。

いやいや、それ忘れないでくださいよ…。


「わざわざすみません。…千来もおいで」


「このままですか!?」

「うん。ダメ?」


ダメって気づいてよ!


「いいじゃん、みんな綺麗って言うよ」

「言わないと思いますけど…」

「ブツブツ言わずに、はいGO~」


「わっ、北斗くん!?」


手をひかれて、メイク室を出る。






出た瞬間、さっきまでとは違う雰囲気に、あたしは呑まれた。


眩しいほどの照明。


たくさんたかれるフラッシュ。


その中で、COLORFULは出される指示に従ってポーズをとり、撮影を進めていく。


北斗くんの撮影も始まり、あたしの視線はそこに釘付けになる。

 

「すご、い…」




これが、あたしがいつも見ている雑誌の向こう側。


芸能人の、本当の世界。







眩しいのは、照明なのか。


それとも、この世界なのか。




目に焼き付いていくのは、カメラのフラッシュなのか。


それとも、輝いているCOLORFULの姿なのか。







あたしがあなたから目が離せなくて、あたしがあなたに抱くこの感情は、惹かれたからなのか。









それとも…