夏休みの魔法


そこへ桜木さんがやってきた。


「あらあら~、遊女みたいね!」


…遊女?

なにそれ…?


「桜木さん!千来にそんなこと吹き込まないでください!」


北斗くんが、まるであたしを守るように抱き寄せた。



抱きしめられているみたいで…恥ずかしくて、でも嬉しくて…。

訳の分からない感情に、パニックに陥りそう。


「いいじゃない、人生経験よ。…それに、男なら一度くらい憧れるんじゃない?遊びに」


「俺は憧れませんし、絶対遊びません!!」


あたしより頭二つ分くらい高い位置にある北斗くんの顔を見ると、赤く染まっていた。


「北斗くん、遊ぶってなんですか?」


不思議に思って尋ねると、北斗くんは驚いた顔をした。

一方の桜木さんは、ニヤニヤしてる。


「せ、千来は知らなくていい!まだ早いし、そんなもの知るな!」


そんな焦らなくても…。

なんか、あたしの親か!って感じの反応なんですけど。