夏休みの魔法


桜木さんに案内されて、メイク室へ向かう。


入ると、北斗くんと蒼がメイクしてもらっていた。


「うわ~、すごい…」


たくさんのメイク道具が置いてあった。


「どれでも好きなの使っていいわよ~」

「はい、ありがとうございます…。…ナチュラルでもいいですか?」


あたし、濃いメイク似合わないんだよね…。


「そうねぇ…。一度ナチュラルにしてから濃いメイクしてみて?両方みたいから」

「分かりました」



そして、大きな鏡の前に座る。

右には蒼、左には北斗くんが座っている。


「なに、千来メイクするの?」

北斗くんが驚いたように聞いてきた。


「はい、女装することになったら僕にメイクしてほしいって、夕哉くんに言われたので、練習みたいなものです」

「…メイクなんてしなくても、綺麗な肌してるのに」


「それは北斗くんに対して、僕が言いたいセリフです」


女か!ってくらい、北斗くんの肌は綺麗だ。

いや、COLORFULはみんな綺麗な肌してる。


「まあ、でも千来の女装見たいよな、北斗」


「………見てみたい、けど…」


「素直になれよ~」


「…蒼、俺はちゃんと見たいと言ったぞ」


「まあまあ、落ち着いてください。…もう始めていいですか?」



なかなか話が終わりそうにないので、あたしはメイクを始めることにした。