夏休みの魔法


「せ~らっ!」

ふいに名前を呼ばれて振り向くと、ドアップの夕哉くんがいた。


「わぁっ!?」


思わずのけぞってしまう。


「その反応を期待してた!」

いやいや、あたしで遊ばないでもらえますかね?


と、いうか…夕哉くん…なんか、メイクが…?


訝しげに見ていると、夕哉くんもその視線に気づいたようで…。



「ああ、ちょっと女っぽいでしょ。今回はコスプレするからね。俺はネコだから、たれ目かな?」

「コスプレ…」


「そっ。女装はないよ、それはそれでまた特集みたいに組まれるから、また今度。…期待した?」



…期待した?

なにを?


「女装できる~って、思わなかったの?」


なんで、女装できる~って……ああ!!


「た、確かに女性のメイクはできますけど!でも別にしたいとか…!というか、僕はメディア露出禁止です!」


「そんな必死にならなくても。…あーでも、千来は似合いそうだな、女装」


…これでも一応女なので。



「…女装することになったら、千来にメイク頼もうかなっ」