スタジオに着くと、遅いとちょっと怒られた。
これから雑誌の写真撮影。
服を替えて少しメイクもするのかな?
メイクなんてしなくても、十分綺麗な顔してると思うけどな~。
「じゃあメイク室きて~!」
順番にメイクをしてもらうらしい。
…ヒマだな…。
ぼーっとイスに腰掛ける。
「あら、あなた…新入りちゃん?」
「へっ?」
急に声をかけられて、声裏がえった…。
見ると、オネェっぽい人が立っていた。
「この子、COLORFUL付の見習いです」
隣にいた夕哉くんがフォローしてくれた。
「初めまして、木崎千来です」
慌てて立ち上がって、自己紹介する。
「初めまして~。私は桜木です、よろしくね」
人懐っこい笑顔を浮かべて、手を出される。
うわぁ~、たぶんほんとにオネェだ!!
出された手を握り返しながら、そう思った。
「千来ちゃん、あなた…」
真面目な顔になった桜木さんに、何を言われるか緊張しながら待った。
「すごく可愛いのね!!やーん、お肌なんてつるつる!うらやましいわ~!何かやってるの?」
…そんなことかいっ!
「いえ、特には何もやってませんよ」
「あらっ、ますますうらやましいわ!!…今日はどんなメイクしてあげようかしら…!」
あの、乗り気になっているところ悪いんですが。
「桜木さん、そいつメディア露出禁止なんで。撮影はしませんよ」
「水月くん!?メディア露出禁止って…?」
「俺たちもよく知らないんですけど、とりあえず訳ありらしいので」
「もったいないわ~!せっかくこんなに可愛いのに!」
男に可愛いって…。
「あはは…。ありがとうございます」
苦笑いしかできない…。

