夏休みの魔法



歩いていた足が、止まった。


「…千来、行くぞ」

北斗くんは聞こえていないフリをして、あたしをせかす。


…でも、その背中は…








あたしは振り返って、さっき呟いたやつの前に早歩きで行った。


「…ふざけんな、お前に何が分かる。COLORFULの何が、お前なんかに分かるんだよ!」


ふざけるな、ふざけるな…!!

COLORFULの努力も知らないくせに!


どれだけ頑張ってるか、どれだけ悩んでるか!

そんなこと、何一つ知らないくせに…!!


「お前なんかがCOLORFULをバカにするな!!!!」



一気にまくし立てて、感情が高ぶったせいで息が切れた。


相手は呆気にとられてる。





「…僕のことは何言おうがどうだっていい。だけど、COLORFULのことを何か言ったら、ぜってぇ許さねえ」




お前なんかに、COLORFULが分かってたまるか。




睨んで、あたしは茫然としている北斗くんのところへ走った。








「……ありが、とう…」






北斗くんは、優しく頭をなでてくれた。






その手は、微かに、震えていた。