夏休みの魔法


「おい、千来はいるか?」


ガチャッとドアを開ける音がして、そちらを見ると、北斗くんがいた。


「北斗くん!」

あたしは北斗くんに小走りで近づいた。


「どうしました?」

「もうすぐ収録が始まるから、迎えにきた。まだ場所とか把握してないだろ?」


「わざわざありがとうございます!すぐ荷物持ってきますね!」


待たせるわけにはいかないから、さっさと荷物を置いてある場所に行く。




確かにスタジオとか把握してないから、助かった…。


北斗くんのほうに戻ろうとしたとき。


「…COLORFULの贔屓かよ、たいしてダンスもうまくねぇくせに」


ボソッと、そう言われた。






…ガマンだ。


あたしのことは、社長と蒼しか知らない。

だから、贔屓でCOLORFULと行動していると思われても、仕方ない。


無視しようとしたのに。







「…今、何て言った?」









ぞくっとするほど、低い声が。




北斗くんから、発せられた。