夏休みの魔法


「「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」」


「お粗末さまでした」


夕食を終えて、千来は食器を洗おうとキッチンへ向かう。

「手伝うよ」

さすがに全部やらせるわけにはいかないだろう。


「大丈夫ですよ。お客さんに、先輩にやらせるわけには…」


どうしても手伝わせてくれなさそうな千来の態度に、俺は強行突破することにした。

ひょいっとお皿を取り上げ、流しに持っていって洗い始める。


「あーっ…すみません…」

「何言ってんだよ。ささやかなお礼?素直に受け取っとけって」

「じゃあ…。ありがとうございます」

「おう」


礼を言われるようなことでもないのに、千来は律儀だなぁ。




「そういえば、北斗くんは兄弟いないんですか?」

千来がふと思い出したように聞いてきた。


「いるよ?妹が二人」

「妹さんですか…可愛いですか?」


手はしっかり動かしながら、でも楽しそうに聞く。


「可愛いねぇ。双子だから、よく似てる」

「双子!?じゃあ大変ですね」

「まあな。まだ小5だし」


俺とは6つくらい歳が離れてる。


「小5!?小さいですね」

「お前とあんま変わんないじゃん」

「二歳も違います!それに小学生と中学生じゃ、だいぶ違います」


ぷぅっと頬を膨らませる千来。