…男とは思えない華奢な腕。
俺の手ですっぽり覆われてしまうくらい小さな手。
俺と頭一個分くらい違う身長。
…到底、男とは思えない容姿。
「…千来って、ほんとに男?」
返事は分かっていても聞いてしまった。
「男ですよ?」
「ですよね…」
何を聞いてるんだ、俺は。
STARTに入ってるくらいだ、男に決まってるだろ。
「…北斗くん、もう大丈夫です。ありがとうございました」
「ん…」
流していた蛇口を止めて、俺も千来の手から手を離す。
「すぐ冷やしてくれたおかげで、痕にはならなそうです」
「よかった」
それから、千来は何事もなかったかのように夕飯をみんなのところへ持って行った。
俺はほぼ無意識に自分の手を見つめた。
「…………………」

