夏休みの魔法


それから俺たちはゲームでもするかってことになって、ゲームしていた。



「…千来強い!!」

「兄とよくやってて…慣れてるんです」

さっきから陽汰と千来の一騎打ちなんだけど、陽汰がコテンパンにやられてる。

陽汰もゲーム得意なほうなのに…。


それからずっとゲームしてたけど、結果は一方的だった…。




気づけば、夕日が出ていた。

「もう夜ご飯作りますけど、食べていきますか?」

千来が立ち上がり、キッチンへ向かった。

キッチンはリビングのすぐ隣にあるから、普通に会話できる。


「それは悪い。千来の負担になるだろう」

そう答えたのは、水月だった。

「僕は構いませんよ。…できれば、一緒に食べてもらえますか?」

「なぜだ」


「…もう慣れてるんですけど、一人で食べるの、寂しくて」


千来はキッチンにいて、俺たちはリビングにいるから千来の顔は見えない。

だけど、簡単に想像できた。



…寂しいけど、ガマンしてる顔が。





「…じゃあ、お言葉に甘えるか?」

夕哉がそう言ったから、夕飯は千来に作ってもらうことにした。