「その人はさ、こんな俺の一番最初のファンになるって言ってくれた。真っ直ぐで、自分の決めたことは最後までやり通す。そんな、強い瞳をしてた」
そして北斗くんはあたしを見て笑った。
「お前みたいに」
「僕…そんなにすごい人みたい…ですか?」
「初めてお前を見たとき、見間違えた。その人は女の子で、お前は男なのにな」
…違う。
「正直驚いた。顔もすごく似てたし、声も、何よりその瞳が。…その瞳で見つめられると、怖くなる。俺がどうしようもなく最低な人間に思えてくる」
違う。
似てるんじゃない、あたしなんだよ。
言いたい、でも言えない。
だから、ほかの事を言おうと口を開きかけたのに、それより早く、北斗くんが話した。
「…ダンスや歌は好き。だけど注目あびて大勢の前でしゃべるとか、華やかな場所は…好きじゃない。なんで俺、芸能界入ったんだろうね?」
自嘲気味に笑う北斗くんに…かける言葉が、見つからなかった。

