夏休みの魔法


驚いてこっちを向いた北斗くんに、早歩きで近づく。


「そんなこと、絶対ないです!北斗くんは僕の憧れです!」


北斗くんの隣にきて、目を見て言った。


その目が、大きく見開かれる。



「…僕じゃ、ダメですか?」




「え?」


「僕じゃ、北斗くんの力になれませんか?」


力になりたい。


「北斗くんのこと、何も知らないかもしれません。でも…何かしたいんです」


あのときは、話を聞くだけだった。


今までは、そばに行くことすらできなかった。



今は…


「少しでもいいから、頼りがいないかもだけど、頼って、ほしいんです…」



ずっとずっと、見てきた。



苦しそうなときとか、辛そうなときとか。


すごくよく分かった。


今だって、分かってる。


理由は、分からないけれど。






分かってて、近くにいて、それで何もできないのは、しないのは、嫌だ。