驚いてこっちを向いた北斗くんに、早歩きで近づく。
「そんなこと、絶対ないです!北斗くんは僕の憧れです!」
北斗くんの隣にきて、目を見て言った。
その目が、大きく見開かれる。
「…僕じゃ、ダメですか?」
「え?」
「僕じゃ、北斗くんの力になれませんか?」
力になりたい。
「北斗くんのこと、何も知らないかもしれません。でも…何かしたいんです」
あのときは、話を聞くだけだった。
今までは、そばに行くことすらできなかった。
今は…
「少しでもいいから、頼りがいないかもだけど、頼って、ほしいんです…」
ずっとずっと、見てきた。
苦しそうなときとか、辛そうなときとか。
すごくよく分かった。
今だって、分かってる。
理由は、分からないけれど。
分かってて、近くにいて、それで何もできないのは、しないのは、嫌だ。

