五分はすぐに経って、その前に北斗くんも先生も戻ってきた。
何事もなかったかのように、レッスンは再開された。
…北斗くんも、テレビで見ていた感じと変わらない。
変わらずに、淡々とやるべきことをこなしているように見える。
突然、先生がパンパンッと手を叩いた。
「ストップ!…北斗!」
「はい」
上がった息を整えながら、北斗くんは先生を見る。
「…少し外の空気を吸ってきなさい」
「!?なんでですか!?」
食ってかかる北斗くんを、先生はあくまで突き放す言い方をした。
「理由は自分が一番よく分かるだろ。…千来…だっけ?ついててやって」
「はい!」
いきなり呼ばれて、びっくりした~。
唇を噛み締めて部屋を出て行く北斗くんを、あたしは追った。
あたしには、北斗くんを助けてあげられるのだろうか。
あたしは、北斗くんのために、なにができるのだろうか…。

