夏休みの魔法


それからすぐ、みんなが入ってきた。

ダンスレッスンの先生もみえて、ストレッチをしてからレッスンが始まった。


「違う、そこ!もっとキレを!!」

先生が言っていることはよく分からないけど、みんな真剣な顔をしている。


「はい、そこまで!五分休憩してまた再開するよ」

「はいっ」

先生は出て行って、その後すぐに北斗くんも出て行った。



一時間練習して、五分だけ休みとか…。

すごくハード…。


「お疲れ様です」


疲れているみんなにドリンクを渡す。

「ありがと~。はーっ、ヤバいね、ハードだわ」

「なんだよ、空、もうへばってんのか?」

「そういう蒼だって、だいぶ疲れてるじゃん!」


どこに言い合う元気があるのか、空くんと蒼はギャーギャー話してる。


それを他の三人は呆れたように見ている。




…北斗くん、出て行っちゃったけど…探しに行ったほうがいいのかな?


すると、そんなあたしの心を読んだように、夕哉くんは

「あー、北斗のことはいいよ」

と、それだけ言った。

「あ、はい」


それだけ、だったのに。



みんなの空気が、少し変わったように感じた。